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個人ブログのFolksonomyデザイン

date: 2007/01/09 01:20 | modified: 2007/01/16 21:02

概要

Web2.0を構成する要素の中に,「Folksonomy(フォークソノミー)」があります.従来の階層分類学ではなく,ユーザーによって自由に「タグ」というラベルを付け,分類することを言うそうです.

このエントリーでは,個人レベルのウェブログにおいてFolksonomyを導入する利点と,タグの効果的な名付け方やナビゲーションなどのデザインについて考えます.

個人ブログにタグは必要か?

そもそも,個人レベルのウェブログで各記事にタグ付けをする利点はどこにあるのでしょうか?

Flickrdel.icio.usのように大人数が参加する閉じられたサイト[1]であれば,情報共有のためのタグ付けは非常に有用でしょう.
しかし多くの場合が単独で運営している個人ブログでは,そもそも情報共有する必要がないために,サイト内部の記事検索程度にしか使われていません.
また,現状では個人ブログに付けたタグを自分のサイトの外部から利用するようなサービスも少ないため,必要性はあまり感じられないかもしれません.

……というか,管理者と訪問者のどちらもまだタグに慣れていないために,どんなことができるのか,どのようにデザインにすればいいのか,いまだに理解できていないのが現状のような気がしますが.

個人ブログに使える,タグによる機能

タグクラウド

「Folksonomy」と「タグ」という言葉とセットでよく出てくるものに「タグクラウド」があります.このサイトでも採用していて,右上の「OPEN|CLOSE」ボタンを押すと出現する[2]のがそれです.基本的にはアルファベット順に並んでいて,タグの使用頻度によってフォントサイズや色が変化しています.
タグクラウドの利点はそのサイト全体で使われているタグ,つまりよく出てくる話題が何であるのかを直感的・視覚的に認識できることと,タグをクリックすることでその記事を得られるところにあります.これは個人ブログでも有用なナビゲーションになります.……とはいえ,残念なことにグラフィックデザイン的要素[3]のように使われることも多く,使用頻度が極端に低いものはあまりにも文字が小さくてクリックすらできないサイトもあったりなかったりします.

関連記事

他には,関連記事を判断するときの指標とすることもできます.
特に日本語の場合は文章が半角スペースで区切られるわけではないために,本文からキーワードを抜き出して記事と記事との関連性を精度よく自動的に判断することは難しいです.しかしユーザーがタグ付けをしてやることで,同じタグをつけている記事は関連が高い,と判断してやることができるようになります.YouTubeの関連ビデオ表示機能もどうやらタグを利用しているようです.
WordPressやMovableTypeのようなメジャーなウェブログ・ツールならば,タグによる関連記事を表示するためのプラグインが提供されています.

またタグ検索には,数値には表しにくいあいまいさがあります.
例えば今見ているこの記事には「text」というタグを付けていますが,textタグ検索をすることで,この記事と同じような考察系の記事を読むことができます.普通検索をする場合は特定の情報を得るために行うものですが,タグ検索の場合は「不特定の情報を得られるかもしれない期待」を持って行うこともできるわけです.

webdesign vs. web+design

Folksonomyの問題点に,「同義語」と「多義性」というものがあります.
前者は簡単に言うと表記ゆれのことで,略語・単数形と複数形・日本語と英語など同じものを指す微妙に異なる綴りの言葉が存在するために分類がばらついてしまう問題.もちろん個人ブログでは,管理者が自分で命名規則を決めることで解決できます.
後者はこの逆で,1つの単語に複数の意味が存在するために正確に分類しきれない問題.例えば「design」という言葉は,意匠や配置,設計図・設計技法などいくつかの意味を持ちます.成語で見てもウェブデザイン・グラフィックデザイン・プロダクトデザインなど様々な使われ方をします.

単純な解決方法は,正しい意味の成語をタグにしてしまう,ということでしょう.例えば「webdesign」のように,「web」と「design」をくっつけて名付ければ意味はだたひとつになります.
しかしこのサイトでは,タグをなるべく短い単語にして登録しています.あえて多義性を出すことでより多くの記事にタグを付けることができ,前述のあいまい検索の期待度を上げることができます.さらに後述のAND検索を利用することで「web+design」のように成語にすることも可能で,検索性を高めることができると思います.また,単語を部品化することで,タグクラウドは省スペースになります.
ちなみに固有名詞はそのままタグにしてあります(WordPressなど)

AND検索,OR検索は必要か?

タグによってウェブログ内の記事検索をする場合,「あるひとつのタグのみ」を拾ってくる,という機会はあまり多くないでしょう.例えば「WordPressのプラグインで,Amazonに関係あるものを調べたい(wordpress+plugin+amazon)」のような複数のタグのAND検索をすることの方が多いと思います.これは前述のようにタグをなるべく短い単語で命名しているならなおさらで,複数のタグを順に選択していって該当記事を絞り込めるような仕組みを提供するべきです.

ナローダウン

このサイトではタグの絞り込み(ナローダウン型と勝手に呼んでいますが)検索,つまりタグのAND検索を採用しています.はてなブックマークやdel.icio.usも同じナビゲーションを採用しています.
また,OR検索をする状況は思いつかなかったのでオミットしています.

まとめ

従来は原則的に1つの情報について1つのディレクトリ(またはカテゴリー)に分類していたのに対して,Folksonomyでは1つの情報について任意の数のタグをつけてやることができます.
多くのブロガーは分類学者ではないわけですし,自分の記事に1つだけ正しいカテゴリーを選択することが難しかったはずです.例えばMTでは以前から,複数のカテゴリーを選択できるようなプラグインが存在していました.このように複数の言葉で情報を定義するという傾向は,すでに以前からあったのかもしれません.[4]

Folksonomyという概念(と,何となくカッコよさそうという飛びつきやすさ)によって,ブロガーは気軽に記事を分類できるようになりましたが,逆に訪問者はどうでしょう? タグが提供してくれる機能を使って,欲しい情報にちゃんと辿り着けているのでしょうか?
もっと積極的に,Folksonomyのデザインを考えてみるといいと思います.

タグ付けをする一番魅力的な利点は,全てのコンテンツを同じ次元で扱うことができる,ということだと個人的に思っています.ブログの記事だけではなく写真やビデオ,ブックマークなどの異なる種類のコンテンツを,ユーザー任意の短い「単語」という同じ次元で表現することができるため,従来のキーワード検索よりも精度のよい検索が可能なはずです.そのうちにそういう検索サービスがはじまり,タグがトラックバックに続くブログ間のリンク機能を担うのかもしれません.

参考

このエントリーは以下のリンク先の記事を参考・引用して書かれています.

  1. そのサイト単体でサービスが完成されている,という意味 [back]
  2. わかりにくい仕掛けでスミマセン [back]
  3. つまり見た目重視のお飾り [back]
  4. おそらくブロガーが付けるカテゴリー名は,分類学的ではなくて,現在のタグ名レベルのあいまいなものなのだと思います [back]

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