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奇怪なマークアップへ至る思考

date: 2008/05/21 11:51 | modified: 2008/06/12 03:13

導入

さまざまなウェブサイトを巡回していると,せっかくHTMLを使える環境であるのに「■」や「○」などをサブタイトルの前に使ったり,「・(中黒)」を使って箇条書きしたり,やけに改行を多用したりしている文章をよく見かけます.これらの「奇怪なマークアップ」は,なぜ使われてしまうのでしょうか?

マークアップとは

マークアップ言語はコンピュータ言語の一種で、文章の構造(段落など)や見栄え(フォントサイズなど)に関する指定を文章とともにテキストファイルに記述するための言語である。このため、データ記述言語に分類される。文章に対するそれらの指定をマークアップと呼び、マークアップを記述するための文字列をタグと呼ぶ。

マークアップ言語 – Wikipedia

(X)HTMLに慣れている人にとって「マークアップ」は,(X)HTMLタグによってテキストを挟んで意味を付け加える行為,つまり「意味マークアップ」のことを指します.
マークアップにはこの他に「視覚マークアップ」というものがあります.

「テキストによるテキストの修飾」という「奇怪なマークアップ」

奇怪なマークアップの例

HTML文書でありながら,HTMLやCSSを使わずに,テキストのみで文章を修飾するのはどうにも奇怪に思えます.このエントリーでは,記号などによる視覚マークアップを「奇怪なマークアップ」と呼ぶことにします.
本来の意図とは違うタグの使い方をすることを「不思議マークアップ(代表例はテーブルレイアウト)」と呼ぶことがありますが,これも似たような話です.

  • 特殊記号によるタイトル化
  • 「・(中黒)」による箇条書き
  • インデントを空白で行う
  • 改行を連発する

以上がその一例です.

奇怪なマークアップをしたがる理由

ではなぜHTMLを使わずに,テキストによる視覚マークアップをしてしまうのでしょうか?

テキスト形式メールの影響

PCメールは「テキスト形式(プレーンテキスト)」で送るのが一般的です.「HTML形式(リッチテキスト)」もありますが,使っている人は稀でしょう.
メールのようなプレーンテキストでは,色をつけたり太字にしたり,文字の見た目を変更することが出来ません.したがって,記号を用いてサブタイトルとして見せたり,2回改行をして段落分けしたり,テキストのみで何とかするしかありません.
これが「奇怪なマークアップ」の主な原因だと思います.

そもそもHTMLへの認識が不足している

ウェブサイトで文章を書いている人は,以下の3つに分類されると思います.

  1. (X)HTMLとCSSの働きまで理解している人
  2. HTML4.01以前の知識で止まっている人
  3. HTMLもCSSも知らないけど,ブログをやっている人

1番目の人は奇怪なマークアップを行うことはまずないでしょう.
特にXHTMLまで理解している人ならば,意味のあるタグによって正しくマークアップされなければならないと思うはずです.それどころか,「strictなマークアップを行わなくてはいけない」という妙な使命感に燃えている人も多いかもしれません.

2番目の人は前述の「不思議マークアップ」をしてしまう人です.
インターネットが普及する前にウェブサイトを立ち上げたことがあるためHTMLの知識はありますが,CSSが一般化する以前だったので,意味と視覚の分離を理解できていないのだと思います.このサイトでは「Web0.2的」という表現で以前エントリーを書いたことがあります.

3番目の人はブログを日記代わりにしている人です.
無料ブログサービスの登場によって,それまでハードルとなっていたHTMLの知識がなくても簡単に自分のウェブサイトがもてるようになったため,文章のマークアップ自体をあまり意識していないようです.

HTMLによる表現の限界

時には話のオチをもったいぶるためだったり,ネタバレを防ぐためだったり,改行を連発して縦に長い空白部分を作りたいこともあるでしょう.
残念ながら,HTMLではそういう例外的な表現に適していません.
もちろん事前にマージンをたっぷりととった段落タグのCSSコードを設けていれば話は別です.しかし急な思いつきで一々CSSを書き足す作業をするよりは,「奇怪なマークアップ」で対処する方がはるかに楽です.

ウェブサイトに載せられる文章は今や,論文のような堅苦しいものよりも,個人ブログに代表される気軽な口語調のものが多くなっています.そういう起伏のある文章を表現するには,HTMLだけでは少し窮屈かもしれません.

個人的な意見と結論

正直に言うと,「奇怪なマークアップ」をやめさせるのにもっともらしい理由はありません.HTMLの使われ方が正しかろうと間違っていようと,文章の意図が訪問者に伝われば問題ないわけですから.

それでもあえて「奇怪な」などという悪意あるタイトルにしたのは,個人的にこれを好ましく思っていないからです.「せっかくのHTML文書なんだから,きちんと意味マークアップをして,見た目は別途CSSで定義しようよ!」と思ってしまいます.同じように思っているウェブデザイナーは案外多いのではないでしょうか?

最後に一つ.この奇怪なマークアップをしてしまうということは,自分にHTMLやCSSを扱う知識や能力がないことをアピールしているのと同義だということを覚えていて欲しいと思います.

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1 response

#1174: たーちゃん

date: 2009/08/24 08:34:01

「HTMLによる表現の限界」仮に思いつきで空行を空けられるマークアップがあったとしても、見る側の環境が同じじゃないと意図が伝わらないだろうな。 http://gerenuk.crazyphoto.org/2008/05/21/132/ #html #blog

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