自他共に認める原作厨である自分は、何かの作品がアニメ化されると聞けばつい気になってその原作をチェックすることがよくあります。今回はそれが「青い花」という漫画作品でした。気が付くと吸い寄せられるようにして、淡い水彩画の表紙が素敵な本を手にしていました。
「百合」というジャンルに興味のある人には是非とも読んで欲しい作品なので、ネタバレしない程度に感想を書き起こしてみます。
「もし私の好きな人が女の子だったらどうする?」
鎌倉のお嬢様学校&進学女子高を舞台に紡がれる、胸キュン”ガール・ミーツ・ガール”ストーリー、待望の第1巻!
マンガ界大注目の志村貴子が描く、女の子の恋と秘密がいっぱいの物語。
読む前に仕入れてしまった予備知識は、この紹介文だけ。
これを見ただけで「ああそうか、これはきっと今流行りの女の子ばかりが登場する世界で、『百合』だとか『ガールズ・ラブ』だとか、女の子同士がキャッキャウフフするアレ……はいはい、わかります」と、まるで全てを理解したような気でいました。
「マリア様がみてる」に始まり「少女セクト」まで読んだことのある身としては、多くの百合作品がそうであるように、この作品もきっと「どのキャラクターが可愛い」とか「どのカップリングはガチ」だとか、そういう記号的な感想が出てくるような作品なのだろうな、と考えていました。
結論から言うとその印象は、全くの見当違いでした。
「百合」という言葉には、魔力があります。
「女の子同士の恋愛って、何だかよくはわからないけれども、美しい、ような気がする」という幻想と背徳感。端から見ていると「それはきっと思春期特有の擬似的な恋愛であって、いずれ過去のものになってしまうのだよ」という未来が見えてしまう切なさ。
百合作品の多くは、読者だけではなく作品の世界の内側においても、これらの感覚を共有しています。
つまり作品という虚構を楽しんでもらうために、あえて都合の悪い現実は極力見せないように作られているのです。話はあくまで「百合が認められやすい環境や人々がすでに整った世界」でのフィクションなのだと、誰もが暗に理解しているはずです。
現実では「百合」という概念は、どの程度受け入れられているでしょうか?
女の子は、女の子相手に簡単に告白出来ますか?
実際に付き合うことになったとして、手をつないで並んで歩いたり、キスをしてみたり、では、その先は?
結婚は出来ないし、親や家族、世間一般の目にはどう映るでしょう?
「青い花」では数コマ前までは談笑していたキャラクターが、ふと真顔になって、そんな「現実」をぶつけてきます。
この現実的な台詞たちが、「百合ものだから」という単なる興味本位で「青い花」を読み始めた自分を正確に射抜いてくるのです。今まで見てみぬふりをしていた「その先」を想像してみなさい、と。
読む前に抱いていた印象は、良い意味で裏切られました。
だから女の子同士のぬるい話を期待して読み始めると、細かい心理描写にピンと来なかったり、逆に突きつけられた現実に痛い思いをするかもしれません。
いやむしろ、そういったライトな百合萌えの人に是非とも読んでもらい、自分と同じように「ドキッ」として欲しいと思うのです。
そして「ああそうか、これはただの『百合』とは少し違うのか」と気づいたら、もう一度最初から読み返してみてください。
「青い花」は、既刊4冊を丁寧に二度読んで欲しい作品です。
正直に言うと最初に読んだときは、万城目ふみのキャラクターがあまり好きにはなれませんでした。
よく泣くし、感情のままに学校をサボるし、甘えたがりの流され上手。
おまけに中年男性がかけるようなダサ眼鏡の……少し面倒くさい子という印象。
ただ話が一気に加速する第4巻を読んだ後に、ふみとあーちゃんの話に改めて注目して最初から読み返してみると、その印象は変わってきます。
女の子同士の恋愛が世間一般にはどのように受け止められているのかを誰よりも理解し、それゆえに悩み、でもついには告白してしまったふみ。
彼女がいつしか、年齢に不相応などこか生々しい色気と憂いを伴った魅力的な女性に見えてきて、応援したい気持ちになっているのです。
続きが楽しみな作品がまた一つ増えました。
参考
このエントリーは以下のリンク先の記事を参考・引用して書かれています。
- 青い花 (漫画) – Wikipedia
- 百合 (ジャンル) – Wikipedia
- 週刊青い花 -フジテレビ“NOISE”TVアニメ『青い花』公式サイト-
- 「青い花」2巻に見る、百合のリアルとファンタジーの狭間 – たまごまごごはん
- 志村貴子 『青い花』 第3巻 感想 – 名前の無いブログ
- 『青い花(4)』(志村貴子、太田出版)感想 – みやきち日記











5 responses
#1203: 瀬留戸える
date: 2010/09/01 23:23:00
「青い花」は、既刊4冊を丁寧に二度読んで欲しい http://gerenuk.crazyphoto.org/2009/07/16/1045/
#1432: える
date: 2010/09/01 23:23:00
「青い花」は、既刊4冊を丁寧に二度読んで欲しい http://gerenuk.crazyphoto.org/2009/07/16/1045/
#1204: ハシロー
date: 2010/09/02 01:15:45
RT @sawaon: 「青い花」は、既刊4冊を丁寧に二度読んで欲しい http://gerenuk.crazyphoto.org/2009/07/16/1045/
#1471: akua
date: 2011/09/22 08:16:05
「青い花」は、既刊4冊を丁寧に二度読んで欲しい :: gerenuk.crazyphoto.org/ http://t.co/Rmg42Rv1
#3349: 螢ぽー@青い花
date: 2012/10/09 09:47:11
@na_roku17 「青い花」は百合ジャンルにおさまらない普遍的な恋愛感情を、細かな日常の描写で魅せる漫画だから好き。ふみとあーちゃんのふたりが愛おしくて×2。画もいい。泣くよ。お勧め(・ω・)yes
(簡単なレビューこれ参考に)
http://t.co/9RUs5B1w